2017年04月12日

セルボニアン



4月になると「新生活応援キャンペーン」って商売文句をよく聞くが、この歳になるとほぼ無縁で無関心。しかしそんなんだから老いぼれるスピードが加速するばかりだ!と今年は決起、世間に便乗して何かをはじめることに。
遂に「セルボーンの博物誌」に手を出す。
西洋では「釣魚大全」と並ぶ人気の古典的自然文学。1789年出版、しかも異国の産物とあってどういう心構えで読めばいいのかさっぱりわからない。今までずっと気にはなっていたのだがいっさい手を出さなかった。その理由は釣りと無関係だから。反して、なぜ気になっていたかというと翻訳の西谷退三という男が気になるから。
他の翻訳者のものもあるが、やはりそれらには全く興味がない。ようするに作者や作品への興味ではなくこの翻訳者への興味が抑えられなくて購入したといえる。
このいきさつを話すのは初心者のバックラッシュを紐解く面倒臭さと同じようなもの。随所だけ並べると、この翻訳の原本は西谷退三の死後、その書斎で見つかった。結婚もせず一人孤独に50年以上も「セルボーンの博物誌」の研究に取り組み完成させ息を引き取った。それを発見し発刊発起人となったのが西谷の数少ない友人である森下雨村。森下雨村は日本の探偵小説の父と評され自ら編集を振るった雑誌からは江戸川乱歩や横溝正史などを世に排出した立役者。その雨村は50歳で都会での名声をあっさり捨て故郷の高知県佐川に戻り釣りと農業をしながら余生を過ごした。西谷とは同郷の友。その雨村が残した釣り随筆がとにかく大好きでお風呂では大抵雨村尽くし。さらに雨村は日本のブラックバッスの父ちゃん赤星鉄馬とも交流があって、赤星主宰の「えび鯛倶楽部」のメンバーの一人でもあった。
結局、バスからの繋がりということ。
わかりやすく順番でいうとブラックバス→赤星鉄馬→森下雨村→西谷退三→セルボーンの博物誌ということ。

そんなわけで「新生活応援キャンペーン」に乗っかり、めでたくセルボニアン候補生となったわけだ。
時を同じくしてTWJのマフも手にした。まるで生き物。
よい道具は生き物としての存在感がある。

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posted by ns at 18:52| 日記 | 更新情報をチェックする